コンビニ限界説が巷でささやかれている。2019年(1月~12月)の店舗売上高11 兆 1,608 億円(前年比 1.7%増)(7チェーン、日本フランチャイズチェーン協会調べ)と売上高は増加したものの、店舗数が55,620(▲123)と前年を下回る結果となった。
コンビニは本当に限界なのか? あるいは現在を「踊り場」と見るのであれば、再度成長の軌道に乗せるには何が必要なのか、大手3チェーンの動向から解説したい。
加盟店の継続意欲に黄信号
最初にコンビニ限界説の元となった出店抑制の経緯から見ていきたい。
コンビニ大手3チェーンは19年度に大幅な出店抑制を打ち出した。当初計画はセブン-イレブンが純増(出店数-閉店数)150店舗(別法人の沖縄県含む)、ファミリーマートが同100店舗、ローソンが同0店舗となり、店舗数全体から見るとほぼ横ばいである。18年度の純増が、セブンは616店舗、ローソンは652店舗だから急ブレーキをかけたと言ってよい。
ファミマは16年9月のサークルKサンクスとの統合により、店舗の統廃合を進めており18年度は▲800店舗となっており、19年度は純増数(100店舗)をいっきに高めている。ただ、いずれにせよ往時の出店に対しての勢いは感じられない。
計画を策定する同時期に東大阪市のセブン-イレブン加盟店がチェーン本部の同意なしに深夜帯の休業を断行、ネットメディアやSNSを中心にチェーン本部への批判が高まっていた。また経済産業省は、18年末から19年3月にかけて、コンビニ加盟店に大規模なアンケート調査を実施、1万1307件の回答を得た中で、5年前の同様の調査と比較して、明らかな経営意欲の減退があると提示した。当時の世耕弘成経産大臣は、調査結果と(恐らく)東大阪市の加盟店の“反乱”から、チェーンのトップの4月に“意見交換”、コンビニ加盟店の安定的な経営を求める行動計画書の提出を各チェーンに迫った。
世耕弘成(当時)経済産業大臣の呼びかけで発足した「新たなコンビニのあり方検討会」
同時に経産省が主宰して「新たなコンビニのあり方検討会」を立ち上げた。「コンビニの今日的な課題および今後の方向性を議論し、コンビニが社会的期待に応えつつ持続可能な成長を実現するためのあり方を検討」する趣旨で、検討会の有識者、加盟店オーナー、およびコンビニ本部へのヒアリングが実施され、さまざまな論点が提示されてきた。同年12月の第4回検討会において「報告書骨子案」が提出されている(報告書の内容については改めて論じたい)。
以上のような経緯から分かるように、コンビニ業界は“持続可能な成長”を模索している状況にある。その土台となるのが「既存店」である。チェーン本部が、店舗純増数を競ったり、売れたか、売れないかに一喜一憂したりするのではなく、既存店の安定的な経営を第一優先課題すること、加盟店支援体制をチェーン大手3社が強化した1年でもあった。
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